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2006年4月 8日 (土)

サクラと犬

サクラ並木のトンネルにさしかかったところで、その犬はクルマの窓から顔を出し、外を見上げ始めた。まだ若そうなゴールデン・リトリバー。まだ成犬になったばかりかも知れない。大きな耳が、昔新聞社のクルマが付けていた三角の旗のようになびいている。僕のすぐ後ろを走るクルマ。その様子を僕はバック・ミラーで見ていた。
道路を覆い尽くすように立ち並んだ樹々。風と雨に散った花びらが敷き詰められている。雲が切れ明るくなり始めた空の光を浴びて、空気までがサクラ色に染まっていた。その風を浴びて金色に輝く長い毛も踊るように揺れていた。
半分空いた口もとのせいで、その犬は笑っているように見えた。初めてのものを見るように、驚きに満ちたそのひとみに、サクラ色の光が次々と流れて行く。首をちょっと左右に振りながら、そのままずっと飽きずに見上げている姿、なんだかとても嬉しそうだ。そして生きていて良かった、といったような言葉が聞こえてきそうな顔をしている。何気ない短い時間だが、こちらまで、生きていて良かった、という気分にさせてくれた。

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